<触れない治療法?>
ワタシ自身の臨床例で恐縮ですが「操体法」の愉しさを説明するのに
非常に役立ちそうな経験をしたので書いてみます。
休日の夜、用事でたまたま治療室にいてパソコンを開いていたところ、
電話が鳴ったので出てみると、当院に何回か来院歴のあるクライアン
トで、新潟県にバス旅行へ出かけていた方から電話があり三日間のバ
ス旅行の初日、バスの移動中に変な座りかたをしていて立ち上がろう
とした際、俗に言う「ギックリ腰」の様な感じとなり、何とかホテルに
着いたけれども食事も取れない位になってきて非常に困っている・・・。
今から二日間もバスに乗るのは厳しいけれど、今から湘南に帰るのも
嫌なので、何とかならないか考えてたら・・・ふと先生の顔が浮かんだの
で電話したのだと言う。まあ、何とも有り難いクライアントですよね。
このような場合、治療院での対応困難な状態を除外しなければならず、
急性の病名をイメージしながら電話での問診をとおしたのですが、そ
の危険性は少なかったので(急性の内臓疾患や中枢神経に関与するよう
な急性腰痛の原因もある為ですね)電話を片手に臨床を始めたのです。
30分位経過して電話を切ったのですが、結果から言えば本人曰く・・・
「先ほどは火がついてきたように腰が痛くて動かせなかったが、いまも
痛みは残っているけれど、これくらいならバス旅行を続けられそうだ」
だったのです。まあ何とも有り難いことですネ。
何故?遠隔治療のようなことも可能だったのかと言えば、ワタシ自身が
ユリ・ゲラー氏も真っ青の、バビル二世並みの”超能力中年”だからです。
・・・ゴメンナサイ、上の文章は我慢できずチョットだけ冗談を・・・(笑)
さてさて、気を取り直して頂いて・・・。
では、一体どうしたら操体の臨床が電話口から行えるのだろうか?その
種も仕掛けもありますので、あと三回のブログで皆さんも出来る筈です。
あ!そうそう、そうはいっても「操体」の理解度によりますが・・・ネ(笑)
まずはこの本を紹介しておきますね。
精神科養生のコツ 改訂
作者: 神田橋條治
出版社/メーカー: 岩崎学術出版社
この神田橋條治先生は、橋本敬三先生のことをご存じであり、同時に超
一流のカウンセリングが出来る精神科医であります。
以前の東京操体フォーラムでの講義中、三浦理事長が語った内容ですが、
見えない世界のことがわかるようになってくると、理解可能になるホント
のことってあってね。ある先生は、経絡はからだの中を通っているんだけ
れども、その末端で終わっているんじゃなくて、経絡は指の先から出てい
るんだっていうんだよね・・・とその内容を共感されていたんですが、こ
の先生が神田橋條治先生なのです。
ワタシ自身、いままで目に見えないものを通じて「経絡現象」を鍼灸師とし
て扱ってきたわけですが、正直に言って、目では見えないだけに古典であ
る滑泊仁の著書「十四経発揮」を元に経穴(=ツボ)を記憶するのですが、
図解十四経発揮
作者: 本間祥白
出版社/メーカー: 医道の日本社
勉強した記憶の中によれば、経絡の流注は「からだ」の中を通るラインであ
って、それが外に出ているとか繋がっているという理解はしていません。
(少なくとも、国家資格を習得する”だけ”の勉強では・・・必要ないのです)
しかし、この「経絡」というモノは途轍もなく深いものであり、橋本敬三
師とも交流のあった、故藤田六朗先生も「経絡現象」のことを非常に、実
にマニアックすぎるほど掘り下げておられますし、先日の岩吉実行委員ブ
ログにも少し紹介がありましたから、覚えていらっしゃることでしょう!
話を元にもどしますが、橋本敬三師も「経絡」について著書中に色々と考察
されているので、操体の臨床においても重要なことは間違いありません。
ですから、ワタシ自身は「経絡現象」を「操体」の「同時相関相補性」で扱って
「重心安定の法則」に基づく、「からだのつかいかた」「からだのうごかし方」
を電話口でヘラヘラ語りつつ、「経絡現象」が繋がったので臨床を組み立て
たというわけなのです。
先ほどユリ・ゲラー氏の事を書きましたが、真面目に”見えないモノ”を研
究される方が増えてきてサッと読める!なんて良い時代なのでしょうね。
中世のヨーロッパに生まれていたら・・・そうはいきませんぜ、皆様。
「見えないもの」を科学する
作者: 佐々木茂美
出版社/メーカー: サンマーク出版
佐々木茂美先生は東北大学工学部精密工学科を卒業されており、1998年の
時点で東海大学の教授をされていますが、著書中の記載で面白いのは、い
わゆる超能力のエネルギーはどの程度計測可能なのか?をデータとして、
”数字”で書きとめてくれたのです。
これはワタシ自身、神田橋條治先生の語られているイメージにピタッと適
合しまして、俄然「経絡現象」を学んできた上での”愉快度”と”理解度”が上
昇し、さらには「操体」で橋本敬三師の語られていた、「般若身経」のなかで
中枢神経を介して”連動”することの理解も深まったのです。
おや・・少し長くなってしまったので、続きは次回に。
では、秋の夜長にお付き合いいただきましてありがとうございます。
操快堂 岡村郁生